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2019年6月 2日 (日)

5月分①:團菊祭五月大歌舞伎夜の部:「鶴寿千歳」「絵本牛若丸」「京鹿子娘道成寺」「御所五郎蔵」

5月26日 團菊祭五月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
5月は無事に夜の部も全部見ることができた。「御所五郎蔵」は迷ったけれど、3月4月のことを考えたらせっかく全部見られるのに自分から帰ることはないなと思い直した。でも、帰った人がけっこういたし、途中で席を立つ人もちらほら。終演がやっぱり遅いよ~。

「鶴寿千歳」
梅枝さんの貴公子ぶりがあまり素敵で目が離せなくなった。全体にあでやかでありながら過ぎてはおらず、王朝の優雅さを楽しんだ。令和を祝うのに相応しい舞だと思った。
190602usinosuke 「絵本牛若丸」
丑之助襲名を祝う出演者のなんと豪華なこと。幕外の郎党が秀調・権十郎・彦三郎・亀蔵(坂東)・松也・右近(尾上)の6人、それだけでも「おおっ」。浅葱幕が振り落されると舞台中央に大ゼリの穴が見える。そして上手側に吉右衛門さん、下手側に菊五郎さんと両人間国宝である祖父2人(あらためて、すごすぎる)を従えた丑之助クンの堂々たる登場。じいさまたち、すでに目尻が下がっている。時蔵さんと雀右衛門さんがお京と鳴瀬で連れ立って現れる。おお、この2人、先月お光・お染で共演したばかり、なんだか得した気分。さらには松緑さん・海老蔵さんが牛若丸の警護をめぐって諍う法師、それをたしなめる阿闍梨に左團次さん(化粧が左團次さんに見えない。声でわかった)。萬次郎さん・團蔵さんと菊五郎劇団の面々が揃い、亀蔵(片岡。楽善さん休演のため代役)さんも加わる。
音羽屋と播磨屋の血を引き、超大物を祖父に持ち、次から次と豪華な顔ぶれに祝ってもらえる丑之助クンは幸せであり、その分、この先の役者の道は厳しいものになると言えるだろう、とまだ幼い丑之助クンにかかる重圧をちょっと思った。しかし「ぴったんこカンカン」で自由奔放、天真爛漫でキッチーじい様の頬を緩ませっぱなしだった和史クン、セリフもしっかりしているし、形がきれい、見得もばっちり決めるのには感心した。それでいて、天真爛漫な空気もちょっと感じた。後日録画を見た「徹子の部屋」でおとうさんより決まっていると言っていたが、うん、たしかに。
花道の引っこみでは「疲れた」と弁慶に馬になることを要求。弁慶に肩車させていたけれど、右手には鬼一法眼のキッチーじい様から預かった巻物(播磨屋から音羽屋へ!!)をしっかり持って、ちゃんと客にアピールしていた。その度胸。でも左手も軽く弁慶の型に添えているだけみたいに見えたから、落ちるんじゃないかとちょっと心配してしまった。
弁慶は菊之助さん。昼の部で弁慶に守られる義経を好演し、ここでは牛若丸を守る弁慶にかわったのが面白い。声にはどうしても優しさが残るが、身体が大きいし、太い声を作っていて、違和感はなかった。
明日は千穐楽というこの日でも、2人のじい様のほころび顔が見られて満足。そして團菊祭で播磨屋・京屋を見られるのもありがたいと思った。

「京鹿子娘道成寺」
今、弁慶で豪胆なところを見せた菊之助さんの花子。出てきた瞬間「きれい‼」。とにかくきれい。
出の花道では玉三郎さんとの「京鹿子娘二人道成寺」が甦って、玉さまが寄り添っているような錯覚を覚えた。能がかりのところはちょっと寝落ち。開幕直前に急に眠気がさして、急いでメガシャキガム(私の救世主)を噛んだのだが間に合わなかった。金の烏帽子をかぶって…気がついたらちょうど烏帽子を取ったところだった。ガムのおかげか、これ以降は眠くならなかった。
花子の鐘に対する執念はほとんど見られない。はじめはそれにひっかかっていたが、どんどん忘れて踊りに引き込まれていった。ただただ少女・女を踊る。姿かたちの美しさ、女性としての心が存分に感じられた。無心に毬をつき(所化との戯れはなかった)、ほのかな色気を含ませながら手拭の扱いに女心を細やかに見せる。振出笠を空にぱっと広げるところは失敗しないようにしっかり投げようとしているように見えてちょっとハラハラしたけれども、笠の描く軌跡は美しかった。
正統派、楷書のようにさえ見える丁寧な動きのすべてに細やかな情が感じられて惹きつけられた。歌舞伎座が新しくなって初、かつ令和にかわった月の「京鹿子娘道成寺」、花子の今後を担うのはまさしく菊之助さんだという舞台であった。
「御所五郎蔵」
松也さんの五郎蔵は颯爽たる色男振りがなかなかよかった。いつもは五郎蔵なんで皐月の気持ちがわからないのよバカって思うのに、今回は何となく五郎蔵の気持ちもわからんではないな~。皐月に対する怒りもであるが、プライドを根こそぎ崩された怒りのような気がしたからだろうか。この物語の言っていることと違うかもしれないが、そういうことなら理解できるんだよね。
梅枝さんの皐月は苦肉の策が五郎蔵に通じないもどかしさ、つらさ、切なさが哀れであった。右近さんの逢州の儚い優しさが胸を打った。
彦三郎さんの土右衛門、不気味さはあまり感じられなかったが、子分たちの追従を見ると、怖い人間なんだろうなと思わされる。皐月への思いが案外純なのと、皐月の気持ちが自分にないことへの悔しさを隠して鷹揚に見せているのがなんとなくいい。
いずれにしても、やっぱりあまり気持ちのいい話ではないな。
<上演時間>「鶴寿千歳」16分(16:30~16:46)、幕間15分、「絵本牛若丸」32分(17:01~17:33)、幕間35分、「京鹿子娘道成寺」68分(18:08~19:16)、幕間20分、「御所五郎蔵」79分(19:36~20:55)

◎今月の筋書き「花競木挽賑」は勧進帳の後見のみの出演である齊入さんから平成生まれの若手まで、ふだんあまりお話が聞けない方々も含めて28人も載っていて、こちらも豪華。

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