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2019年7月14日 (日)

巡業東コース:「口上」「引窓」「かさね」

7月2日 巡業東コース昼の部(北とぴあ さくらホール)
今年の巡業観劇は王子だけか…。寂しいけれど、王子で見られたのはうれしい。
「口上」
高麗屋の襲名披露公演なので、染五郎さんはいなかったが、白鸚さん、幸四郎さんの襲名口上があった。白鸚さんを真ん中に上手に向かって猿之助・高麗蔵、下手に向かって幸四郎・廣太郎・錦吾の面々が並んでいる。高麗蔵さんだけが女方の扮装。
白鸚:一通りの挨拶の後、昨年1月2月と、37年ぶりの親子三代襲名披露公演を歌舞伎座で行った。その後元号も変わり、全国各地でご披露している。(声高らかに何度も「王子」と。各地で同様のサービスをしているのだろうが、やはり嬉しい)
猿之助:高麗屋と澤瀉屋は初代猿之助から代々ご縁がある。またお2人は学校での先輩でもある。今年は1月、3月、6月、7月、8月と幸四郎さんと一緒で家族以上に長い時間をともにしている。明日は釧路へ出発するが、今日王子の地に立ったとたん、地方公演が始まるのだと実感した。(昔、東北へ行く時また帰ってきた時、大宮でああこれから旅が始まるのだな、ああ帰ってきたなとしみじみ思ったことがあったが、そういう感覚だろうか)
高麗蔵:初舞台は4歳、「義経千本桜」で白鸚の兄さんの義経に抱かれた安徳天皇以来、50何年お世話になっている。先月は染五郎さんの恋人役をやった。お芝居では自分が初恋の人である。(染五郎さんの初恋の人が巡業では幸四郎さんの妻!!)
錦吾:11歳の時、先代白鸚さんの内弟子になって以来66年。父も内弟子だったので合わせると100年以上になる。新白鸚さんとは同い年である。少年の頃より数々話はあるがここでは控える。(なんか含むところあり、みたいで聞きたい!!)
廣太郎:親類の一員にとどまらず、白鸚おじさん、幸四郎兄さんには世話になっている。(ここも親戚関係だったのか)
幸四郎:父との共演、猿之助さんとの共演はありがたく、刺激を受けている。出たがり屋なので口上を含め全演目に出演している。(何年前のことだろう、このブログにも書いたことがあると思うけれど、誰かが染五郎さんは本数契約だから、と冗談を言っていたのが未だに忘れられない。本当に奮闘公演が多いから、健康には十分気をつけていただきたいといつも思う)
白鸚:「引窓」で長五郎を演じる。しばし歌舞伎の世界をお楽しみください。(たっぷり楽しみました。ありがとうございます)

「引窓」
全員がニンに合っていた。
廣太郎さん(三原伝造)は兄を殺された怒り・悔しさがおさまらずどうしても仇を討ちたい気持ちに逸っている様子が見えた。錦吾さん(平岡丹平)も年配ながら弟を殺された怒りを隠せず、だからこそこの後の展開が大事になってくるのがわかる。
幸四郎さんの与兵衛は初手柄をあげたい意気込みよりも冷静に状況を読んで犯人確保につなげようという感じを受けた。そういう意味では濡髪を逃がしてやる心情が湧いて不思議はないのだが、意外性が薄れるような気もした。もっともこの物語はそれぞれの人物の互いを思いやる真心が中心になるので、意外性は考えなくてよいのだろう。与兵衛のやさしく真っ直ぐな人間性がよく表れていて、爽やかさと相俟って、この複雑な状況にある濡髪を納得して見送ることができた。
白鸚さんはさすがの大きさで、すべてが母親(幸雀)よりもデカい。それでいて、2人の関係は母と子であった。
高麗蔵さんはやはり日本人が似合う。見た目は比較的地味だが、動きやセリフに花街の名残があるように思った。
以前に「井筒屋」(歌舞伎座)、「新清水の場」(国立劇場)を見たことがあるが、「双蝶々曲輪日記」ではやはり「引窓」が一番。
「色彩間苅豆」
これまでに何回か見ていると思うのだけど、印象的だったのは海老蔵×亀治郎の「かさね」。今回は幸四郎×猿之助という魅力的な、これも記憶に残るコンビである。猿之助さんが女方をやるたびに書くが、やっぱり女方が断然好き。指先まで行き届いて美しい。

与右衛門は海老蔵さんの時にもそうだったが、さほどの悪人には感じられなかった。ただ、この演目でいつもむごいと思うことがひとつある。それは顔が醜くなってしまったかさねに無理矢理鏡を見せることだ。もちろんかさねの父を殺し、かさねの母とも不義をしていた与右衛門はむごい男であるが、実際に目の前で行われていることによりむごさを覚えるのである。鎌で襲うのも恐ろしい。刀以上に恐ろしい。それでも与右衛門に悪をあまり感じないのは、与右衛門の人間としての弱さが見えるからだろうか。
幕が開いた時、おお、清元に栄寿太夫(尾上右近)が!! ミーハーには幸四郎、猿之助と3人揃っただけで豪華感(延寿太夫をさしおいて申し訳ない)。
<上演時間>「口上」10分(14:00~14:10)幕間15分、「引窓」70分(14:25~15:35)、幕間20分、「かさね」50分(15:55~16:45)
この後大急ぎで行かなくてはならないところがあり、ダッシュで地下鉄へ。最速で乗れた。

 

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コメント

7/14(そう言えば巴里祭でしたね)、三茶のシアタートラムで『チック』という芝居を観てきたのですが、公演チラシの中に、シアターコクーンで今年10月(7日〜27日)海老蔵、黒木瞳、森山未來らで『オイディプス』がかかりますね。既に発表されているのかもしれませんが。

投稿: うかれ坊主 | 2019年7月15日 (月) 00時21分

うかれ坊主様
あら、ほんとだ、巴里祭でしたね。すっかり忘れていました。7/4はちょっとニュースになったので気がつきましたが。
「オイディプス」の情報、ありがとうございます。配役的にも魅力なのですが、多分見られない…。

投稿: SwingingFujisan | 2019年7月15日 (月) 18時22分

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