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2019年8月30日 (金)

八月歌舞伎座第二部:「東海道中膝栗毛」

8月20日八月納涼歌舞伎第二部(歌舞伎座)
毎年楽しみな弥次さん喜多さんシリーズの第4弾。これまではこのほかにもう一つ演目があったのだが、今年は弥次喜多1本。
第2弾、3弾と面白いことは面白かったのだが、1作目ほどのインパクトがなかったり、笑いや趣向に走りすぎているようなところもあったのが、今回はかなりしっかりした作りになっていて、楽屋落ちも含めて第1弾と同じくらい(いやそれ以上かも)歌舞伎の喜劇を楽しめた。筋書きの石川耕士さんによれば「三代目猿之助四十八撰のテイストでいきたい」と現猿之助さんから声がかかったそうだが、そうかそれで、とわかったような(私は三代目猿之助をほとんど見ていないので、あくまで<わかったような>)気持ちになった。
座席は第一希望が取れずに別の席を取ったのだが、偶然にも宙乗り小屋のすぐ近く(予約の時には宙乗りをまったく意識しておらず、ただ番号だけで取った。だいたい、いつも同じような席にいます)。ラッキーだった。

ブザーが鳴り真っ暗になると舞台スクリーンに3年間の物語のダイジェストが映し出される。それは弥次さん喜多さんの夢であった。目を覚ました2人がいるのはひまわり畑の真ん中にある屋根の上。おお、なんと懐かしい、映画「ひまわり」の胸キュン主題曲が流れるではないか。もうこれだけで私にとって<つかみはOK>である。
二人は借金取りなどに追われ、屋根の上で傘を広げると風に乗って空へ。ここは舞台上での宙乗りで、このまま楽してお伊勢さまに行けると能天気な二人である。しかし花道から猿田彦神(猿弥)が現れて、楽して伊勢参りとは何事か、と神風に吹き戻されてしまう。
場面変わって、ここは鈴ヶ森。なんと染五郎・團子の二人が薄汚い雲助(染松・團市)になっている!! あれあれと思っていたら、最終的にはこれまで通り伊月梵太郎、五代政之助であることがわかって安心した。
中車さんのカマキリ先生(鎌川霧蔵)再び登場(中車さんについては第三部で触れる)。二人にお尋ね者獅子戸乱武と黒船風珍(トランプとプーチン)の人相書を与える。戸乱武と風珍が弥次喜多にそっくりということでドタバタ混乱が起きるのだが、トランプとプーチンは風刺をきかせてもよかったのではないだろうか。戸乱武と風珍から刀を預り、伊勢に刀を奉納すれば夢がかなうと弥次さん喜多さんは染松と團市を連れて伊勢に向かう。

鈴ヶ森の後は白糸の滝、いだてん、世話情浮名横櫛、女殺油地獄、一本刀土俵入、伽羅先代萩などのパロディで楽しませてもらった。
笑三郎さんのおかめはちょっと気の毒だったな。本人は楽しんでいたかもしれないけれど。水芸ももう少しちゃんとしたのを見せてくれてもよかったかな。
地蔵の首が戸乱武と風珍によって切り落とされ、地蔵の守り役である村娘お千代(児太郎)に一目惚れした貝蔵(巳之助)が地蔵の胴体を背負って弥次喜多のお伊勢参りに加わる場面。巳之助さんの鬘が取れて舞台も客席も大笑いだったが、これはハプニングなのか、仕込まれたことなのか。
とろろ屋での油地獄のパロディは、とろろだから痒いというようなギャグが入ってもよかったのではないかしら。
隼人さんが切られ与三郎でもあり河内屋与三郎でもあり(ここでは河内屋与三郎)。隼人さんの「大富豪同心」、ぴったりでとてもよかったな。ぜひ続編を!!
一本刀でのパロディでは、お蔦(鶴松。きれい)が宿の二階ではなく脚立に載っていたことが最後にわかる。お蔦が帯紐につけておろしてやったペットボトルを受け取る時、喜多さんがなかなか紐を離さず引っ張ったら「ここは不安定なんだよ」とお蔦が言っていた理由がわかって大笑い。
いだてんは七之助さん(七化けお七)が「金栗みよです」と。みよは三四か。いだてん、面白いのになぁ。
先代萩は、地蔵の首が元に戻っているのに気がついた貝蔵がお千代に言い寄るが逃げられ、「取り逃がしたか、ざ・ん・ね・ん」。第一部の男之助の再現か。取り逃がしたのに、伊勢ではカップルになっていたぞ。みんなの望みがかなったということだろう。
望みといえば、染松と團市が役者をやってみたいと言っていたが、ついに二人は伊勢の芝居小屋でその望みをかなえ、熊谷・敦盛の組打を演じている。染五郎さんが熊谷、團子さんが敦盛。染五郎さんは線が細くまだまだ熊谷には届かないが、いずれ立派な熊谷をやる日がくるだろう。私は多分見られないが、その第一歩を見た、と自分の中で満足である。團子さんは第一作から芝居っ気があってうまいと思っていたが、どんどん成長している。染五郎さんともども身長があるので、今はなかなか機会がなく、年に一度というのは淋しい。舞台が役者を育てるのだとすれば、出なくても伸びを見せる團子さんなのだから、大いに期待できる。月代の顔がちょっとおじいさんに似ているような…。
この劇中劇の場面、猿弥さんの娘義太夫が見事。
本水で戸乱武・風珍と梵太郎・政之助の立ち回りがあり、ここでももう二人は子役ではないなあとしみじみ思った。
最後は寿猿さんの船頭が花火に火をつけ、弥次喜多は空へ。宙乗りをばっちり近くで見られてよかった。
来年も第5弾を見られるのかな。楽しみにしています。
上演時間は私にとってはほどよかった。場の数は多かったけれど、幕にしたら二幕だったのね。<上演時間>「序幕」80分(15:00~16:20)幕間20分、「第二幕」60分(16:40~17:40)
初日より序幕が5分短縮、二幕目が5分延長、幕間が5分短縮されていた。

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