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2019年9月29日 (日)

九月歌舞伎座夜の部:「寺子屋」「勧進帳」「松浦の太鼓」

9月24日 秀山祭九月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
この日はとにかく何も予定が入らないよう頑張ったが、1週間前から咳がひどく、医者にも行きそびれて、うがいとマスク、市販薬でしのいできた。徐々におさまってはきたものの、時々発作的に出るのが心配で、迷いに迷った末、出かけた。幸い、終演まで咳はまったく出ることなく無事に観劇できた。私の咳はハウスダストによるものかも。
「寺子屋」
吉右衛門さんが心のひだを細かく見せ、松王丸の胸の痛みが痛切に伝わって泣けてきた。豪快でありながら、ずっとつらい思いをしてきたんだな、それでついに息子を犠牲にすることになった…そのことを心底痛ましく思った。
菊之助さんの千代は自分の悲しみを爆発させても仕方ないのにぐっと抑え、夫を立てていた。それでも泣いてしまう千代に、昨晩2人で思い切り泣いたではないか、だからもう泣くなと言う松王丸の言葉に、前夜の夫婦の姿が目に浮かび、たまらない気持になった。
一方の武部夫婦は今日入ってきたばかりの子供を菅秀才の身替りに立てようと恐ろしい相談をしている。ただ、幸四郎さん児太郎さんは行儀よく丁寧に演じて好感度は高いものの、心の奥行が何か物足りないというか、いまひとつ盛り上がれなかった。
春藤玄蕃の又五郎さんが憎まれ役というよりは、きちんと職務を遂行しているという感じで、ある意味好感がもてた。
鷹之資さんの涎くりがきちんとやんちゃぶりを発揮していてうまいと思った。
丑之助クンは立派な菅秀才であった。
園生の前の福助さん、のれんをくぐるあたりまでは黒衣さんに支えられて、その先は児太郎さんが手を取り座らせた。それを見ただけで胸が熱くなった。

「勧進帳」
弁慶が幸四郎さん、富樫が錦之助さん。日程的に偶数日しか取れなかったのもあるが、錦之助さんの富樫をぜひ見てみたかった。錦之助さん富樫にはぐっとくるものがあった。「判官どのでもなき人を」での覚悟の表情がわかりやす過ぎるように感じたけれど、それが意外とこちらの胸に響いて、いい富樫だと思った。
幸四郎さんの弁慶は大熱演。力で押し切る感じだが、大きさがあった。主君への心も常に忘れていない。延年の舞は仁左様と同じだった? 若い分動きが激しいような気がした。花道で富樫にお辞儀をした後、弁慶は天に向かって感謝のお辞儀をする。ここで拍手がくるのが通常だが、幸四郎さんは上を向いた顔を戻すと、すぐに六方に入り、客に拍手をする暇を与えなかった。おお、こういうやり方もあるのか。六方も仁左様同様、手をひらひらさせなかったので手拍子が起こらず、非常に満足な引っこみであった(手拍子の間、すっごく居心地悪いのだ、私)。
孝太郎さんの義経はやはりいい。
長唄の感想はこの前と同じ、やっぱりあそこでの昂揚感が得られなかった。
でもやっぱり「勧進帳」はいいなあ、好きだなあ。

「松浦の太鼓」
愛嬌、短気というかせっかち、それでいて鷹揚、かつ家来に慕われるそんな松浦侯を歌六さんが生き生きと演じていた。ご機嫌が二転三転するのも微笑ましい。又五郎さんが大高源吾の実直さを、東蔵さんが其角の温かい人柄を達者に体現していた。
歌六、又五郎、歌昇、種之助、米吉と一家が揃っての舞台、ほのぼのした。
ラストは勘三郎さんの松浦侯が重なった。
9時近い終演で、見ないで帰る人もけっこういたと思うが、残念である。勧進帳との幕間が10分、大道具さん頑張ったなあ。

久々にこってりとたっぷり歌舞伎を堪能した。

<上演時間>「寺子屋」83分(17:53)、幕間30分、「勧進帳」73分(18:23~19:.36)、幕間10分、「松浦の太鼓」72分(19:46~20:58)

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