« 玉三郎さん、文化功労者に | トップページ | 一月歌舞伎座演目 »

2019年10月30日 (水)

「天竺徳兵衛韓噺」

10月25日 「天竺徳兵衛韓噺」(国立劇場大劇場)
191030tokubei 強く降る雨ゆえか、空席がかなり目立ったが、その割には拍手に熱がこもっていて、ほっとした。私は今月唯一の歌舞伎観劇。
序幕はちょっとつらかった。観劇前に急な用事が入ってあたふたしたせいもあってか、時々こっくりこっくりしてしまった。年齢的に違和感のない橋之助(佐々木桂之助)米吉(銀杏の前)の恋物語にはあまり味わいが感じられず、浪切丸をめぐる騒動についても、眠かったせいか、なんとなく…。歌昇さんが恋敵の悪役で頑張っていたけれど、歌昇さんがやる役なんだろうか。
「天竺徳兵衛」はこれまでに3回ほど見ているのになかなか思い出せなかったのは、この発端とも言える序幕の「北野天満宮鳥居前の場」と「北野天満宮別当所広間の場」を初めて見るからだと、二幕目を見てわかった。
二幕目「吉岡宗観邸の場」になって芝翫さん(徳兵衛)が出てきたら芝居にメリハリができて、ぐんと面白くなった。芝翫さんはこの役にぴったり。声も身体も大きいし、華もある。いつもはうるさいと時に辟易する声も今回は全然気にならなかった。
異国話(船上で語る澤瀉屋版の記憶が強く残っていて、2018年1月の演舞場も宗観邸だったということは全く忘れていた。今回の異国話は琉球の美ら海水族館、国立劇場おきなわ、ハワイのオアフ島、ダイヤモンドヘッド、ワイキキビーチでサーフィンをしようとしたら誰かに似ていると間違えられた話で盛り上がった。もちろん、その誰かとは「歌舞伎役者の中村芝翫」で「うり二つだそう」。芝翫も親子そろって4人の襲名から当月で3年が経った、芝翫は息子たちとホノルルフェスティバルで「連獅子」を披露した。そういえば「連獅子」はラグビーワールドカップの公式マスコットになっている(聞き手の勘之丞さんが「レンジーという名前だったとか」と応じる)など、今月の話題をうまく盛り込み、客席大いにウケた。聞き手役の2人の庄屋さん(勘之丞さんと吉三郎さん)にベテランの味わいがあった。
ヘビが出てきたところで完全に記憶が甦った。浪切丸が隠してあったのは柱だったような記憶があるが(澤瀉屋版だったかしら? あるいは記憶違いかも)、今回は筧に仕込まれていた。

桂之介と別れさせられる場面での米吉さんは一途な娘の思いがほとばしり出て、愛らしく哀れだった。
徳兵衛は善人側だったのに、宗観(彌十郎)から出自の秘密を聞き、その野心を知ったとたん、ガラッと変わる。その変心が面白かった。
彌十郎さんは瀕死の割には声がしっかり大きかったが、それも宗観の精神の強さの表れか。東蔵さん(宗観妻夕浪)はちょっともったいないかな。それでもその存在感はさすがであった。
歌昇さんは二役で敵役から味方側になったのがいいような悪いような…。
又五郎さんは又五郎さんらしい力や味を発揮できるような役ではなかったような…。
「吉岡裏手水門の場」では巨大な蝦蟇が見どころではあるが、捕り手たちと立ち回りを見せる蝦蟇がちょっと小さくてお粗末な感じがした。また、動きはしっかりしていて客席を沸かせたが、赤い口をあける回数がちょっと多過ぎる気がした。また、蝦蟇はスッポンに入って徳兵衛と入れ替わると思っていたが、蝦蟇は下手の穴に入り、徳兵衛がスッポンから現れたのはちょっと「??」。でも徳兵衛の六方での引っこみはかっこよかった。
大詰「梅津掃部館の場」、座頭がうまい。出てきた時は一瞬だれかと思ったが、声で徳兵衛が化けているのだとわかった。木琴の弾き語りに愛嬌があり、異国話同様、客を飽きさせない。蝦蟇の妖術が使えなくなって驚く姿にもちょっと愛嬌があって、客席から笑いが起きた。悪役としての迫力と愛嬌、今回の芝翫さんはとてもよかった。
<上演時間>「寺子屋」83分(17:53)、幕間30分、「勧進帳」73分(18:23~19:.36)、幕間10分、「松浦の太鼓」72分(19:46~20:58)

おまけ1:プログラムを買うと天竺徳兵衛とケロロ軍曹コラボのクリアファイルがついてくるというアナウンスが入ったが、私はもらわなかったなと思っていたら、プログラムの入った袋からぽろりと出てきた。クリアファイル入りで渡してくれたのね。
おまけ2:翌日が千穐楽ということで、物産が値引きになっていた。思わず買ってしまったわ。

|

« 玉三郎さん、文化功労者に | トップページ | 一月歌舞伎座演目 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 玉三郎さん、文化功労者に | トップページ | 一月歌舞伎座演目 »