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2019年11月29日 (金)

十一月歌舞伎座夜の部:「菊畑」「連獅子」「市松小僧の女」

1125日 顔見世大歌舞伎千穐楽夜の部(歌舞伎座)
千穐楽だということをすっかり忘れ、この日突然予定が入ったら翌日幕見で見ようなんて考えていた。危ない危ない。無事に、しかも早めに歌舞伎座に着いたら、まだ昼の部終演前で、歌舞伎座前は夜の部観劇の人人で、大混雑。
「鬼一法眼三略巻」
菊の庭のこの舞台は大好き。ちょうど今の時期にぴったりだし、30年ほど前まで住んでいたところの近所では菊を仕立てていた人たちが多かったので懐かしい気もするのだ。
梅丸改め莟玉さんの虎蔵は若く美しく瑞瑞しく凛々しい。義太夫のノリはこれからのお勉強だろう。
魁春さん(皆鶴姫)とのカップルは懸念したほど違和感がなかった。魁春さんの若く見せる芸が優れていたのだろうが、もう少し赤姫らしい情熱があってもいいかなとは思った。
梅玉さん(智恵内)は柔らかさの中に、鷹揚さ、牛若丸を盛り立てる力強さがあり、奴智恵内の存在感がしっかり出ていた。主君を打擲するように命じられての躊躇もよかった(弁慶の打擲の伏線みたい)。
芝翫さんは鬼一法眼にはちょっと若すぎるような気もしたが、堂々として風格が感じられた。
鴈治郎さんの笠原湛海は歯切れがよいからテンポが小気味よい。
鴈治郎さんが登場したところで口上となった。
東西の成駒屋に梅玉・魁春兄弟という内輪であたたかい口上だった。小さいときから梅玉さんのもとにいたこともあるかもしれないが、梅丸さん本人が素直に精進していることも、みんなに可愛がられている様子もよく伝わってきた。
梅乃さんに2回、「うめの」と声がかかったのが嬉しかった。
葵太夫さんは国立と掛け持ち。国立夜の部のある日はどうしていたのだろうと思ったら、国立は夜の上演はなかったのね。


「連獅子」
染五郎さんが出てきた瞬間、なんと立派になったことかと驚いた。踊りもきちんと丁寧にメリハリをつけていたが、若さにまかせているようなところもちょっとあったような…。
毛振りは最初幸四郎さんの方が疲れて見えたが、だんだんのってきて、千穐楽サービスなのかどうかわからないが、どんどんスピードを上げ、最後は染五郎さんが父親に合わせようとやけくそに振っているようにさえ見えた。だから、最初はきれいに毛が弧を描いていたのに終わりの方はけっこう乱れていた。でも、染五郎さんは花道から本舞台まで振りながら歩んでお父さんにちゃんと合わせたのは立派。
宗論は、萬太郎さんの楷書に対して亀鶴さんは力みのない行書のような感じで面白かった。客席にも大いにウケていた。
「市松小僧の女」
初めて見る芝居。
お千代は同じ女武道でも、毛谷村お園に比べて自由な感じで、時蔵さんは前半を楽しそうに演じていた。ニンも合っていた。萬太郎さん(森田屋彦太郎)がお千代との結婚をなかなか承知できないでいるのに、楽屋落ち的な興味で内心ニヤついていた。お千代が前半と後半でがらっと変わるのが面白い。惚れ込んだ男に尽くすタイプだったのね~。その愛には胸を打たれた。
鴈治郎さんはちゃんと若者に見えた。根っからの悪ではなく、ちゃんとしようと努力していながら、流されてしまう弱さ、鴈治郎さんの表現、見事であった。
團蔵さんが父親の気持ちを好演。
芝翫さんのああいう役は好き。千代へのリスペクトと親身に思う優しさがぴったり。カッコいい。
途中まで微笑ましく見ながらも、いつ又仙太郎(市蔵)が出てくるか、どんな不幸が襲いかかるのかと、不安もあった。そしてそれは的中した。又吉を思うからこその千代の迫力、ハラハラした。
あの幕切れはハッピーエンドを示唆するものなのか、私にはちょっと不安な余韻を残した、という印象だった。
全体に、とても面白いお芝居だった。
<上演時間>「菊畑」63分(14:30~17:43)、幕間35分、「連獅子」50分(18:18~19:08)、幕間20分、「市松小僧の女」62分(19:28~20:30)

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コメント

十一月大歌舞伎のレポートありがとうございます。11月は福岡市、北九州市に行ったので歌舞伎座へは行けませんでした。11月14日に小倉城での平成中村座夜の部小笠原騒動を観て来ました。勘九郎さんの舞台は久し振りで奮闘されていました。初春は鰯売に出演ですね。12月は4日に南座、14日に歌舞伎座夜の部、17日に新橋演舞場夜の部です。寒くなって来ました。風邪気味の午前中も有り少し辛い時も有りますが身体に気を付けていきたいものです。

投稿: カトウ | 2019年12月 1日 (日) 05時53分

カトウ様
コメントありがとうございます。時間がなくてあまり詳しく書けなくてすみません。

お城と平成中村座、いいですね。独特の空気がありそう。そうか、勘九郎さんは舞台が久しぶりだったんですね。「いだてん」でずっと見ているので、単純に<久しぶり>という気がしませんでした。
「小笠原騒動」は何年か前、浅草の平成中村座で見ました。中村屋兄弟の悪役が魅力的でした。

今月も充実した観劇のご予定ですね。
ほんと、お風邪には十分お気をつけくださいね。

投稿: SwingingFujisan | 2019年12月 1日 (日) 22時08分

市松小僧の女。鬼平犯科帳で みました。結末は お千代が又吉の右指を切り落とし、お咎めなし、 というものでした。
今回はどうなのか 楽しみにしてました。又吉を演じたのは
小朝さん。女に甘える感じが あってました。
ちょっと お知らせまでに。

投稿: kinoshita-sarusuberi | 2019年12月 2日 (月) 07時33分

kinoshita-sarusuberi様
コメントありがとうございます。
鬼平でやったのですか!! そういえば池波正太郎原作ですものね、「市松小僧の女」は。
指を切る芝居は「双蝶々曲輪日記」の「井筒屋」で見たことがあるのですが、芝居とわかっていても恐ろしく、又吉が失神するのももっともだと思いました。
小朝さんが又吉に合っていること、わかる気がします。今回の鴈治郎さんも合っていましたね。

投稿: SwingingFujisan | 2019年12月 2日 (月) 11時27分

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