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2019年12月18日 (水)

十二月歌舞伎座昼の部:「たぬき」「村松風二人汐汲」「阿古屋」

12月9日 十二月歌舞伎座昼の部
観劇後に計画していた用事が時間的に無理なことがわかり、観劇前にすませることになった。用事はメインのそれを含め4~5件。朝8時前に家を出て(普段なら起きる時間だわ)、地下鉄が5分遅れ、そのしわ寄せで予約に15分遅れ、「たぬき」に間に合うかそわそわし始めた頃名前を呼ばれ、無事完了。余った時間がハンパだったけれど、思い切って全部の用件を済ませた。激混み地下鉄に30分乗って(通勤の皆さん、本当にお疲れ様!! 毎日のことだもの)、セカセカと行動したせいか、「たぬき」が始まって20分もすると眠くなってしまった。
「たぬき」
寝落ちしたのは目が覚めた金兵衛(中車)と隠亡(市蔵)の会話の一部で、そんなに長い時間ではなかった。あとは面白さもあって頑張れた。
「たぬき」は前にも1度か2度見たことがあり、おおむね覚えていたが、
今回、金兵衛の心がより浮き彫りになってわかったような気がした。最後、子供にいつまでもおとうちゃんと呼ばれることで、家に帰ることを決心するのだが、それは子供可愛さからだけではない、何かが金兵衛の胸に沸き上がってきたのが感じられたのだ。いっぽう三津五郎さんの金兵衛はそれまで何を食べても美味しくなさそうだったのに、この場面でふっと毒気が抜け、人間としての生気を取り戻したと感じたのだった。どちらの金兵衛がどうというのではなく、どちらも面白いなと思った。
お染の児太郎さんはおとうさんだとオーバーになりがちだった崩れた生活ぶりを丁寧に演じていた。芸者お駒の笑也さんはニンでないのかも…。
太鼓持ちの彦三郎さんもニンではない役だろうに、なかなか面白かった。
市蔵さんはいい人に見えて、社会の底辺で生きる人のいやらしさ(言葉は悪いが)のようなものはやや薄いように思った。
弘太郎さんは珍しい女方で、だれかと思った。ラストでわかったという始末。しかし、誰もが金兵衛にそっくりだ、生き写しだと驚き騒ぐ中、1人知らん顔していたのはなぜだろう。敢えて無視したのだろうか。だとしても、驚きの表情を一瞬も見せてもよかったんじゃないかと思ってしまった。


「村松風二人汐汲」
梅枝・児太郎という次世代の阿古屋が並んだ。梅枝さんはごく自然に「たおやか」という言葉が出てくるしなやかな美しさ。児太郎さんは言葉は悪いけれど、よく見ると顔が意外とごつい(骨っぽいというか)と思った。背も高いし。なのにそれを感じさせない華やかな美しさ。努力のほどがわかろうというものである。これからも先が楽しみな2人である。
「阿古屋」
今年は玉三郎さんの阿古屋のみ。
圧倒的な美しさと存在感はともすれば重忠の彦三郎さんや岩永の松緑さんを上回りかねないと思ったが、彦三郎さんがニンの役で爽やかな大きさを見せた。阿古屋の琴の演奏中、階段に脚を投げ出したままの姿勢で微動だにしないのはすごい。松緑さんも持ち味を出していた。
三曲は自然に無心に演奏しているようで、阿古屋の真実を表現しているように思えた。
去年は梅枝さんと玉三郎さんを見たから今年は梅枝さんの成長と児太郎さんを見たかったのだが、果たせず残念。

<上演時間>「たぬき」90分(11:00~12:30)、幕間35分、「村松風二人汐汲」30分(13:05~13:35)、幕間20分、「阿古屋」75分(13:55~15:10)

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コメント

昨日昼の部でした。私は市蔵贔屓なので、どうしても評価が甘くなりますので、良かったと思うのですが、確かに助五郎さんや山左衛門さんがとても良かったので、古参の脇役のものなのかもしれませんね。あと25日に児太郎の阿古屋と玉さんの保名を観て今年の『演劇巡礼』の《納め》になります。
『阿古屋』 彦三郎と松緑は劇団なら、きっと反対の配役なのでしょうね。

投稿: うかれ坊主 | 2019年12月22日 (日) 10時59分

うかれ坊主様
私も市蔵さんは好きです。團十郎さんと海老蔵さんのパリ公演、オペラ座でお隣にいらしたのが市蔵さんの奥さまでした。とてもおきれいな方だったというのを今思い出しました。お芝居とは関係なくてすみません。

私は26日が芝居納めですが、この年末にきて観劇だけで精いっぱい、国立・ナウシカ昼夜・歌舞伎座夜の感想を年内に書けるかどうか…。

彦三郎さんと松緑さん、たしかにそうかもしれません。そう言われると反対の配役でも見てみたくなりました。

投稿: SwingingFujisan | 2019年12月22日 (日) 23時11分

おはようございます。
以前にも書いたかもしれませんが、片市さんとは、同じ生年月と言うのもあり(さすがに日付は少しずれますが)、また先代を贔屓にしていたこともあります。

確かに菊之助の重忠に彦三郎が岩永を演じた事がありましたね。
でも口跡からして彦さんは生締が似合うし、柄からいって紀尾井町も頓兵衛や師直など敵役が合っていたりするので、今の形が良いと思います。
一度、彦三郎の盛綱を亀三郎の小四郎、松緑の和田兵衛で観たいです。

投稿: うかれ坊主 | 2019年12月23日 (月) 06時25分

こんばんは。
同年代、ましてや同年同月生まれだと親近感も湧くし、応援したくなりますよね。

彦三郎さんも松緑さんも、どちらの役も演じられるというのがいいですね。彦三郎さんは「たぬき」でニンにない役を演じられて、演技の幅を広げられているのだろうと思いました。
亀三郎くんとの本格的な親子共演も見たいですね。

投稿: SwingingFujisan | 2019年12月24日 (火) 01時56分

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