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2020年1月30日 (木)

「菊一座令和仇討」

1月27日 「菊一座令和仇討」千穐楽(国立劇場大劇場)
家のことや雪の予報で見られなくなるんじゃないかと心配したが、無事に観劇。千穐楽しか取っていないと、何かあったときには諦めなくちゃならないから危ないのだけど、この日しかなくて。
全体には薄味ながら、まずまず面白かった。
原作を知らないので何とも言えないが、南北のことだから幅広く複雑な物語機構になっているのだろう。今回の物語は笹野権太(松緑)と白井権八(菊之助)を中心に、最終的に蒲冠者範頼に対し仇討ちせんとするまでのいろいろを描く。人間を深く掘り下げることはほとんどなく、ストーリーを追って成立させることに終始しており、それはそれで面白いのだが、物足りなさも覚えた。ここのところの復活芝居、そういうものが多いかな(そうでもない?)。前はもっとエネルギッシュだったような…。
序幕。場内真っ暗になってしばらくすると、ぱっと明るく華やかな鎌倉瀬戸明神の場になる。頼家は左近クンか。大きくなったなあ。声変わりしたせいか、セリフがやや言いにくそうだったが、若くても上に立つ者の品格はあったと思う。
鷹に狙われた鶴はなんだったのかと変なところで引っかかったが、これは両花道から権太と権八を登場させるきっかけに過ぎなかったのだろう。
2人の妹おさい(梅枝)、八重梅(尾上右近)がそれぞれ相手の兄を慕い、結婚することになる場面、古寺の化け物騒ぎは必要あったのだろうか。化け物退治を権三と権八にやらせようという志摩五郎(彦三郎)のたくらみはわかるのだけれど、おさいが八重梅や残月(片岡亀蔵)、順斎(橘太郎)の助けを得て化け物を登場させる意味がつかめなかった。いや、悪役志摩五郎が化け物を怖がるというお約束場面があったり、意外な展開があったりして面白いことは面白いなとは思ったのだけれど。
福寿湯の場面は番頭三ぶ六(橘太郎、二役目)が時代を活写しているようで、さすがだと思った。志摩五郎がタピオカドリンクを飲んだり、マッサージを受けたり。「やばいよやばいよ」も入ったりして笑った。彦三郎さんと手下の又六役・咲十郎さんのコンビが息もぴったり、崩さずに可笑しみを醸し出す。彦三郎さんは本当に声が素晴らしい。セリフが心地よく入ってくる。


権八が女に間違われたのをいいことに吉原に売られていくという趣向も面白いが、意外とインパクトは弱かった。それでも、まさに菊之助さんじゃないとね、という役で楽しめた。
ところが、三浦屋寮の場は完全に寝落ち。気がついたら、元の寺西閑心宅になっていた。
梅枝さんと右近さんがともにきれいな女方で同じ側というのがうれしかった。右近さんの華、梅枝さんのしっとり儚げながらの強さ、2人ともうまいので安心していられる。
時さまの伝法な悪婆(三日月おせん)は好きだ。菊五郎さん(寺西閑心)との夫婦役は久しぶりのような気がする。やはり安定感がある。時さま、何か裏がありそうな予感はしていたが、権三と権八の実の姉というのは驚きだった。それにしても権三と権太が同じお守りを持っていることがわかったとき、兄弟かもしれないという認識はなかったように見えたが、同じお守りを持っているおせんに言われるまで気がつかなかった? あれ、ではおさいも八重梅もあわせて4人は実の兄弟姉妹ってこと?(と、この感想を書いていて初めて気がついた)
菊五郎さんの閑心は化粧でちょっと面白い顔になっていて、こちらもたしかに裏がありそうではあったが、だまされた。蒲冠者範頼だったのか。さすがの大きな存在感。幡随院長兵衛もよかったな。
最後は権三・権八vs花四天の立ち回り。花四天の飛び越し(最終的に3人飛び越し)は飛び越される人が床にうずくまるのではなく中腰になっており、飛ぶ高さが高くてハラハラしたが、見事に飛び越して拍手喝采。
最後は渡り台詞の締めとして菊五郎さんの「ワンチーム」。刀の「大入」はなかった。
なんだかんだ言ったけれど、私の1月に国立は欠かせない。
<上演時間>序幕45分(12:00~12:45)、幕間35分、二幕目30分(13:20~13:50)、幕間15分、三幕目55分(14:05~15:00)、幕間15分、大詰15分(15:15~15:30)

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