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2020年1月27日 (月)

浅草歌舞伎第二部:「お年玉ご挨拶」「尼ヶ崎閑居の場」「祇園一力茶屋の場」

1月17日 浅草歌舞伎第二部(浅草公会堂)
ちょっと早めに着いたので羽子板を見る。芝のぶさんの絵がめちゃくちゃ上手でびっくりした。入り口前では大勢の人(年齢層が高い、自分を含めて)が開場を待ちわびている。浅草歌舞伎がこれだけ賑わうのはうれしい限りだ。
「お年玉ご挨拶」
今回は巳之助さん。一通りの口上の後、くだけた調子になる。早いもので2020年になってから2週間以上経った。最初に「あけましておめでとうございます」と言ったが、「あけまして」は一般に15日くらいまでで、15日を過ぎると「新年おめでとう」になる。では、なぜ敢えて「あけまして」と言ったか…肝心のところを記憶していないが、要するに浅草の町も江戸初歌舞伎も楽しんでいただきたいという思いからである。したがって、公演期間中は「あけまして」と言う。
ここからは携帯に関する注意。どういうわけか他の公演に比べて浅草では携帯が鳴りやすい。初日以来、鳴らなかった日のほうが少ない。今日11時の部でもしっかり鳴った。マナーモードにも気をつけて。なぜか静かな場面にムームーと鳴る。アラーム機能も切って。電源を切っていてもアラ-ムが鳴ることがある。電源の切り方がわからない人は恥ずかしがらずに隣の人に聞いてください。大丈夫な人は大丈夫と大きな声で答えて。
というようなご挨拶であった。携帯にはよほど悩まされているんだろうな。浅草はそれだけ空気がゆるいということなのかしら。
「絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場」
観劇の前に美術展鑑賞をしたので眠くなることは予想できたのだがこの日しかなくて…。申し訳ないながら、前半はかなり寝落ちしてしまった。ということで感想は後半(光秀の登場)のみで。
歌昇さんは小柄だが、地の底から、いや腹の底から出る声、大きな演技で存在感が見事だった。春長へのやる方ない怒りと武智家滅亡の悟り(認めたくはないが認めざるを得ないという心情かしら)に共感を覚えた。息子と母の死に涙する様子も武将としての、親としての、子としての気持ちが伝わった。今後、歌昇さんの持ち役になるだろうと期待する。
隼人さん(十次郎)は死を目前にして、若者らしい甘えと武者としての無念が哀れだった。初菊(米吉)はしどころがあるようでないようで、難しい役なんだなと思った。
新悟さん(操)は母親として妻として嫁としての複雑でつらい気持ちがよく表れていた。息子の死に際、そばにいたいだろうにそれは初菊にあずけ、姑のところに駆け寄り看取る姿に涙が出た。新悟さんは娘役も好きだが、落ち着きと古風さ(梅枝さんの古風さとはちょっと違う。新悟さんは新しさと古風さが混じっている)があるので、若手の中では老け役も合っているのかもしれない。
武智家の人たちを演じる役者さんはじっと我慢の演技でつらいだろうな。

「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋」
巳之助さんと米吉さんの熱演に時として泣きそうになった。お軽と平右衛門が顔を合わせて互いに驚く場面に、お軽の「恥ずかしい、面目ない」に、2人の「会いたかった会いたかった」に、勘平の死を告げる平右衛門に、覚悟を決めたお軽に。
米吉さんはきれいだった。初菊の幼さから、大人の女とはいかないまでも夫のために苦界に身を沈めた一途な妻、よかった。
巳之助さんもやや力みすぎかなというところはあったが若いだけに動きにキレがあり、性格的には優しい人なのだとよくわかる。
2人の真っ直ぐな楷書の演技が気持ちよくこちらの心にしみこんできて、物語の世界に深く入り込み、心を揺さぶられた。
松也さんの由良之助もなかなかよかった。酔ってのセリフにやや疑問をもったものの、全体には大きさがあり、由良之助の心情がしっかり伝わってきた。斧九太夫への怒りのすさまじさはこちらの心に響いた。
若手がこれほだ大きな役を得て、きっちり演じていることに喜びを覚えた。
浅草はやめられない。
<上演時間>「お年玉ご挨拶」10分(15:00~15:10)、「太十」80分(15:10~16:30)、幕間25分、「一力茶屋」100分(16:55~18:35)

追記 大人はしゃべる。鑑賞教室の高校生は寝はしてもお喋りはしない。大人は寝る(私も)、喋る。お茶の間で見ているわけじゃないんだから。でもね、それも含めて歌舞伎観劇かなと…。

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コメント

歌舞伎鑑賞中に幕が開いてもいつまでも世間話をしている人はいますね。そういう話は外でやってくださいと思います。近くでやめないと口に人差し指を当てて見ますが。拍手も大薩摩の三味線のさわりの所ではやめて貰いたいものです。直ぐに唄いが始まるので聴きとりにくいです。でも楽しく観て異空間に連れて行ってくれるのが演劇の力ですね。

投稿: カトウ | 2020年1月29日 (水) 11時19分

カトウ様
幕開きは全体に空気もざわついていますし、とくに演奏で開く場合はお喋りが多いようです。
三味線のさわりでの拍手は賛否両論のようで、私もはじめは拍手していましたが、ある時からやめて演奏を聞くようにしました。
いずれにしても、みんなが楽しかった、あるいは感動したと劇場を後にできればいいなと思います。

投稿: SwingingFujisan | 2020年1月29日 (水) 11時31分

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