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2020年1月28日 (火)

一月歌舞伎座夜の部:「五斗三番叟」「連獅子」「鰯賣戀曳網」

1月23日 壽初春大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
ひょっとしたら見られないかもの危惧があり、その場合でもせめて「連獅子」は見たいというところだったが、無事にすべての演目を見ることができた。
「義経腰越状 五斗三番叟」
前回の歌舞伎座での公演が平成17年2月、私が歌舞伎を見始める前のことなので初見である。
他愛ないといえば他愛ないような、その奥にあるものを考えさせられるような、…義経の放蕩も(大星由良之助みたいに)、五斗兵衛の大飲酒後の酔態もわざとなんじゃないかと疑ったりして。この段だけではよくわからなかった。いや、義経は本当の放蕩かな。だとしたらイメージ壊れるわ。諫言した亀井六郎(猿之助)への怒りにしても、義経千本桜や勧進帳を思ったら「うそ~」と言いたくなる。猿之助さんがあんなにがんばって諫めたのに。芝翫さんは義経のニンではないように思ったが、あのヒステリックな怒り方は昼の部の松江侯に通じるものがあった。
これで深刻な成り行きになるのかと想像したら、五斗兵衛が酔いつぶれるというコミカルな展開になった。白鸚さんは酒好きのプライドをくすぐられて(?)ついつい飲んでしまった、飲んじゃったらもうやめられないという大酒のみの習性(?)がコミカルで品よく、楽しく気楽に見られた。酒を飲み干すときは頭をほとんど動かさずに体を少し動かす程度で、盃をかぶるようにして飲んでいた。酔っ払いもリアルだったが、あれはやっぱりわざと酔ったんだろうな。白鸚さんの目が時々それを物語っているような気がした。
歌六さん(泉三郎)はすっきりうまい。義経への目通りをおじゃんにした五斗兵衛への怒りはごもっともだ。


「連獅子」
ここのところ、年に一回、夏の「東海道中膝栗毛」にしか出ていなかった團子クンのいきなりの抜擢、どうしても成長を見たくて今月イチの楽しみだった。
よくぞここまで頑張ったと、時々目がしらが熱くなった。初めて歌舞伎に出てからしばらくは、じっとしている場面でどうしても小刻みに動いてしまう。幼い時に歌舞伎に触れていないからかと心配したが、体幹がしっかりしてきたのだろう。猿之助さんをはじめ周囲の厳しい指導のもと、成果が出てきているのだ。背が高いから仔獅子としては大きいが、親獅子・猿之助さんの貫禄もあり、違和感はなかった。まだ粗削りな部分もあるが、ダイナミックで見ごたえあった。
猿之助さんの親獅子はこれまで見た中で一番厳しく感じた。谷に落ちた仔獅子を探すのにも愛情が勝つよりこの厳しい試練についてこられないようでは、という印象を受けた(それが本当なんだよね、きっと)。それあdけに再会の喜びは弾けるようで感動した。
毛振りも團子クンは頑張っていた。猿之助さんの毛振りはさすがにきれいだった。
われるような拍手は、團子クンの成長に対する賞賛、励ましの気持ちも多分に入っていただろう。
男女蔵さんと福之助さんの宗論はちょっとやり過ぎというか、もう少し品がほしかった。
「鰯賣戀曳網」
勘九郎さんで見るのは2度目。こういう演目で勘九郎さんのいいところは、コミカルな場面を丁寧に演じる点だ。まじめなキャラが活きている。はちゃめちゃではなくても物語に入り込ませてくれる面白さがある。客席が何度も大ウケしていたのがその証拠だろう。魚尽くしの軍記物語も楽しかった。勘三郎さんには勘三郎.さんのキャラで羽目をはずす面白さがあったが、お父さんはお父さん、息子は息子でいい。それにしても声がそっくりで、勘三郎さんを思い出すことしばしばだった。
蛍火に酒を注ごうとする禿の酒器を奪って禿が吹っ飛ぶ場面は、禿と勘九郎さんの息がぴったり合って、絶妙のタイミングで吹っ飛んだ。この日は奇数日なので禿は長三郎クンだったのかな。物語の世界にしっかり溶けこんでいて感心した。
七之助さんはきれいで貫禄があった。猿源氏を尻に敷きつつ、立てるところは立て、愛情たっぷり、いい夫婦になるなあ。
なあみだぶつは私の中では彌十郎さんの印象が強く、まったく逆な感じの東蔵さんはどうなんだろうと見ていたら、さすがに味があって。舞台に温かみが感じられた。男女蔵さんの博労もよかった。男女蔵さんは夜の部の3演目すべてに登場。この役が一番よかった。
種之助さん(藪熊次郎太)だけが異質な登場人物で、演じるには若すぎる気もしたが、スパイシーなアクセントとなっていた。
最後、猿源氏と蛍火の花道での引っ込みが残っているのに、定式幕が閉まったところで席を立つ人がぽつぽついたが、あれ、まだ終わっていなかったのか、という感じでちゃんと全部見ていってくれたと思う。
それにしても、「素襖落」、「五斗三番叟」、「鰯売」と、酒飲み三題であったな。
<上演時間>「五斗三番叟」67分(16:30~17:37)、幕間15分、「連獅子」52分(17:52~18:44)、幕間35分、「鰯賣戀曳網」66分(19:19~20:25)

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