« 「菊一座令和仇討」 | トップページ | 團十郎襲名披露演目 »

2020年2月 8日 (土)

「幽」と「顕」:「出雲と大和」

1月31日 「出雲と大和」(東京国立博物館平成館)
テレビで取り上げられるようになると混むかなと、私にしては珍しく早めに鑑賞。それも多くの展覧会でねらい目の金曜日夜に。6時前に入館して8時過ぎに出たが、その時間でもトーハクに向かう人が何人かいた。私の見た時間帯はガラガラというわけではなく、むしろ案外人が多いなという印象。それでも日中の混雑時より人が少ないせいか、落ち着いた雰囲気でゆっくり見られた。神の世界を司るオオクニヌシは「幽」、現実世界を司る天皇は「顕」、それぞれの象徴である出雲と大和を、目で肌で感じることができる展覧会である。
日本書紀成立1300年特別展であるから日本書紀の一部が展示されている。読めないけれど、「そうか、日本書紀か」という感慨がなんとなく湧いてくる。
第一章 巨大本殿 出雲大社
第一会場に入ってまず度肝を抜かれたのは、3本1組の太い心御柱と宇豆柱。心御柱には模造も1本あり、本物と見比べれば違いはわかるものの、実によくできていた。この柱を見れば、10分の1スケールの本殿模型(これ、以前にやはりトーハクで見たことがあるような…記憶をたどって調べてみたけれど、どうしてもわからない。自分の記録にもない。でも、絶対見たことがある)が決してオーバーでないことが頷ける。総高48メートルの本殿への階段のところどころに巫女さんのフィギュアが置かれていて、その巨大さが実感できる。古代の人は巨大な神殿にさぞや畏敬の念を抱いたであろう。
金輪御造営差図は本殿の平面図で、従来信ぴょう性に疑問がもたれていたものの、心御柱、宇豆柱が発見されたことで再評価されたそうである。
ちょっとあれ?と思ったのは刀と甲冑である。神社に武具? 「太刀 銘 光忠」は豊臣秀吉が、「赤糸縅肩白鎧」は足利義政が出雲大社に奉納したそうである。ほかにも佐太神社や物部神社に奉納された太刀、甲冑が展示されている。そうだ、奉納だ。あれ?と思う必要はなかった。甲冑はつい先日見た西洋のものに比べてやはり美しいし動きやすそうだ。


第二章 出雲 古代祭祀の源流
200207izumo 弥生時代の祭祀に用いられた品々が展示されており、出雲地方の様々な遺跡から出土したそれらは、日本海側の交流を示している。
加茂岩倉遺跡から出土した銅鐸の埋納状況を復元した模型を見ると、発見当時の興奮を自分も共有するようである。168本並べられた青銅の銅剣は圧巻。荒神谷古墳では6個の銅鐸と16本の銅矛が一緒に埋納されており、5号銅鐸は最古段階、全国でも数例しかないそうだ。銅鐸はNHKの「ヒストリア」で興味深かったのでロマンを感じながら見た。
しかし出雲は弥生後期になると、他の地域に先駆けて青銅器による祭祀から巨大な四隅突出型墳丘墓を舞台とした祭祀へと移る。
西谷墳墓群から出土した勾玉・管玉はガラス製。ナトロンを溶融剤としたガラス素材を用いた管玉があったが、ナトロン‼ ミイラを作るのに用いられた乾燥剤でもあることを私が知るのは後日のことである。
第三章 大和 王権誕生の地
「幽」の出雲から「顕」の大和へ。展示品は古墳時代のものが主である。とくに興味をひかれたのは巣山古墳出土の準構造船部材(4世紀)と、これをもとに復元された準構造船(模造)である。遷都1300年祭(もう9年以上も前のことだ)で見た遣唐使船よりおそらく200年以上も前の船である。この時代の大和と大陸との交流に思いを馳せた。
埴輪が好き。「見返りの鹿」はかわいいし、「椅子に坐る男」はちょっと珍しいのではないだろうか。「椅子に坐る男」は窖窯で焼かれたそうだ。喜美ちゃん、窖窯は古墳時代6世紀にはすでにあったのだね。
ここでも勾玉や管玉がみられたが、出雲は玉類の産地だそうで、なるほど玉には霊の力が籠っていることとつながるなと思った。
第四章 仏の伝来と政
仏像がいっぱい。最近、こういう展示が多くてうれしい。当然のことだとしても、時代によってまた仏師によって個性が感じられるのがあらためてわかった。

学生時代、考古学を勉強したいと考えたことがあったなと思い出した。

|

« 「菊一座令和仇討」 | トップページ | 團十郎襲名披露演目 »

展覧会」カテゴリの記事

コメント

今日から2泊3日で東京です。国立劇場で11時から菅原、16時30分から歌舞伎座、10日は昼の部です。後新国立美術館でブダペスト展、国立博物館で出雲と大和、時間があれば江戸東京博物館で江戸のものづくり列伝を観ようかと思ってます。歌舞伎座5月6月7月の團十郎襲名公演の團十郎新之助出演の演目が発表になりましたね。勧進帳、助六、暫、外郎売り等ですね。公演日が少ないのでチケットは争奪戦でしょうね。喉風邪が良くなってはきましたがマスクは咳がまだでるので手放せませんがあまり売っていないのが不便です。

投稿: カトウ | 2020年2月 9日 (日) 09時25分

荒神谷博物館へ行ってみたいと思ってます。銅鐸や銅剣がこんなに大量に発見されたのはあまりないですから。

投稿: カトウ | 2020年2月 9日 (日) 09時47分

カトウ様
充実した3日間をお過ごしの予定ですのね。素晴らしい‼

ブダペストは私も見るつもりです。
荒神谷はいいですよね~。考古学的興味だけでなくロマンをかきたてられます。ぜひ、いらしてください(私は無理そう…)。
江戸博はいつも行こう行こうと思いつつ逃しております。江戸ものづくりも魅力、次の江戸絵画の冒険者たちも魅力で、何とか行かれればいいのですが。

團十郎襲名公演の情報、ありがとうございます。
7月の公演はオリンピックの関係で20日間なんですね。そして3部制ですか。予定を立てるのが難しい…。

投稿: SwingingFujisan | 2020年2月 9日 (日) 19時27分

昨日、世田谷文学館に6世中村歌右衛門展に行ってきました。図録も充実。お薦めです。
そのあと歌舞伎座の夜の部を観ていました。
終演時間の早いこと!

投稿: うかれ坊主 | 2020年2月12日 (水) 06時14分

うかれ坊主様
ご紹介、ありがとうございます。見たいのはヤマヤマなのですが、世田谷文学館ですか…ちょっと遠い…。行かれたら行く、というのは行かないようなものですね。頭には入れておきます。

夜の部の終演、早いのは大いに助かります。

投稿: SwingingFujisan | 2020年2月12日 (水) 23時05分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「菊一座令和仇討」 | トップページ | 團十郎襲名披露演目 »